ロハスクラブ
企業に知ってほしい、生態系サービスの価値。
2010年9月から新たなミッションを掲げる、NGO「CI(コンサベーションインターナショナル)」。日本代表・日比保史さんが「生態系サービス」をレクチャー。
右上/固有種が多く生息するアフリカ・マダガスカル島でも、森林の伐採が広がっている。右中/フィリピンでの風景。人々の暮らしが自然のなかで営まれている。左/エクアドルのNGOとパートナーシップを結んだCIジャパン。森林管理に関する技術や地元政府と協働するノウハウなどを交換。下/COP10に参加した日比さんは、合意の瞬間を撮影。

 「人の暮らしと産業、経済の持続的な発展には、生態系サービスが必要不可欠。だから生物多様性を保全する、という姿勢で新たな活動を展開していきます」と、講師レクチャープログラムの冒頭で話すCIジャパン代表の日比保史さん。今後、ますます重要視されるだろう「生態系サービス」を軸に、2010年10月に愛知県名古屋市で開催されたCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)を、その前後に開催された環境国際会議の動向を踏まえながら、総括した。

 09年12月に、デンマーク・コペンハーゲンで開催されたCOP15(気候変動枠組み条約第15回締約国会議)。大きな話題にはなったが、ポスト京都議定書の温暖化対策は合意に至らず、失敗だったといわれた。2か月後、カタール・ドーハで絶滅危惧種の国際取引を禁止するCITES(ワシントン条約第15回締約国会議)が開催され、日本では「地中海クロマグロ」の問題が取り沙汰されたが、クロマグロを絶滅危惧種に指定すべきという欧州の主張が通らなかったことで、日本の外交努力が結実したと報道された。しかし、「国際的な環境保全から見れば、他の議題でも合意できず会議は失敗です」と、日比さん。さらに、膠着状態が続くIWC(国際捕鯨委員会)などを例に挙げながら、「COP10以前の会議が立て続けに失敗に終わっていたのでCOP10もだめだろうと予想されていましたが、議長国・日本のリーダーシップによって、過去20年間も暗礁に乗り上げていた『遺伝資源の利用から生じる公正かつ衡平な利益配分』も含めて合意できたことは成功だったと思います」と、COP10の合意結果に理解を示した。

 さらに、COP10後の10年12月、メキシコ・カンクンで開かれたCOP16の成果としては、生物多様性の保全ともリンクする「REDD+(森林減少・劣化に由来するCO2排出の削減)」の合意の重要性を挙げた。

 最後に日比さんは、UCCとライセンス契約を結んだサスティナブル・コーヒーの商品化などを紹介しながら、「生態系サービスの保全には、NGOと企業のパートナーシップが重要です」と評議会メンバーに訴え、発表を終えた。

 そして、ロハスクラブ事務局からは、「第6回ロハスデザイン大賞2011新宿御苑展」の開催内容が発表された。今年のテーマは、「エコ・ネイティブなヒト・モノ・コト」で、会期は5月中旬の週末を予定。サスティナビリティを感じさせるエコな展示に期待したい。

上右/日比さんに質問する、積水ハウス環境推進部の木戸一成さん。上左/「生物多様性があるからこそ、生態系サービスが得られるのです」と話す、CIジャパンの日比さん。下/ロハスクラブ事務局の上田啓介が「ロハスデザイン大賞2011」の開催内容を説明。

今月のDATA
生態系の値段は2640兆円!?

生物多様性の保全は地球環境にとって重要な課題だが、そこから生まれる恵み、いわゆる「生態系サービス」の大切さも認識する必要がある。食べ物、医薬品、住まいの建材など、私たちは生活のあらゆる場面で生態系サービスの恩恵に授かっている。生物多様性が損なわれると、企業においても生態系からの原材料調達が不安定になる。その生態系サービス、経済価値に置き換えたらいくらになるのか? アメリカのロバート・コンスタンザ博士がネイチャー誌に発表した研究データによれば、評価できる要素だけでも、海からは21兆ドル、森林からは4.7兆ドル、川や湖、沼からは6.5兆ドル、農地からは0.1兆ドル、合計約33兆ドル(約2640兆円)と試算されている。
生態系の値段は2640兆円!?


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