ロハスクラブ
レジリアンスに富んだ幸せな社会を築こう!
経済成長と個人の幸せの関係について考え直そうと、環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが設立した、『幸せ経済社会研究所』の活動指針を紹介する。
上/沖縄・宮古島のさとうきび畑。台風を受け流せるしなやかな茎に改良されている。これぞ、レジリアンス。右下/幸せ経済社会研究所の設立記念シンポジウムで基調講演するアラン・アトキソンさん。左下/枝廣淳子さん。

 社会が行き詰まっているのは、その「構造」が悪いから。無限の経済成長を求める構造そのものを見直すべき時期に来ていると訴える枝廣淳子さんは、幸せ・経済・社会をつなぐ構造を見極め、従来の構造をどのように変えるべきかを考える『幸せ経済社会研究所』を2011年1月に設立した。

「キーコンセプトとなるのは『レジリアンス』。復元力と訳されるこの言葉を、私は『しなやかな強さ』と言っています。レジリアンスに富んだ社会を築くことが、幸せ経済社会研究所の目指すところです」

 枝廣さんは、東日本大震災で物流がマヒし、工場の生産がストップしたことからも日本のレジリアンスの欠如が如実に示されたと指摘する。

「コストダウンのための1社依存、在庫を抱えないジャスト・イン・タイムの生産体制が脆弱性を露呈しました。そうならないために、個人も、地域も、企業も、国も、『しなやかな強さ』を備える必要があるのです」

 レジリアンスの重要性は、生物多様性においても語ることができる。1840年代にアイルランドで起こった「ジャガイモ飢饉」では、効率よく大量に収穫できる1品種だけを栽培したためにウィルスに感染し、全滅。飢饉に陥り、100万人が命を失ったと伝わっている。「数種のジャガイモを栽培していたら悲劇は防げたはず」と、枝廣さん。

「同様に、日本の一次エネルギーは80%以上を化石燃料に頼っていますが、ピークオイルを超えた今後、日本の経済や暮らしはどうなるのでしょう?」

 企業経営も、環境やエネルギー問題も、短期的な効率ばかりを求めていると、真の成長や解決は期待できない。長期的な視野、つまり、社会の時間軸を延ばし、一見ムダに思える開発や生き方に時間とコストを費やすことによって、豊かなレジリアンスを持つ社会、個人が幸せを実感できる社会を築けるのだと枝廣さんは力説する。

「ブータンは、GDP(国民総生産)に代わるGNH(国民総幸福)という指標を用いた政策を行っていることで話題になりました。72の指標をつくり幸福を測っていますが、その政策がヨーロッパで評価され、フランスは『サルコジ報告』で従来のGDPを見直し、幸福という指標の導入を始めようと提唱しています。そこでもレジリアンスという概念が大事な土台になると考えられています」

 幸せと経済と社会は、三位一体。ロハスクラブ・木楽舎もレジリアンスの概念に共感し、共同プロジェクトで「幸せにつながる節電」をテーマに、アイデア&エッセイコンテストを実施する。

中/レクチャーを行う枝廣さん。「社会の動きをペースダウンさせることが必要」と説く。右/質問するサラヤ営業統括本部広告宣伝部長の代島裕世さん。左上/東京ミッドタウンの「d-labo」で開催。左下/枝廣さんが所長を務める「幸せ経済社会研究所」のロゴ。


今月のDATA
アメリカ人のGPIは、約1万7000ドル。

アメリカ人のGPIは、約1万7000ドル。
現代社会の指標の代表であるGDPで測られる経済成長は、私たちを真の幸せに導くのか? 東日本大震災によって日本のGDPは短期的には落ち込むが、復興事業によって中長期的には増えるともいわれている。しかし、国民の悲劇を踏み台にして増えるGDPとは何かと考えさせられもする。そこで登場するのが、GPI(真の進歩指標)という指標。GDPから、幸せにつながらない要因(犯罪、公害、家庭崩壊など)を引き、幸せにつながっているがGDPに入っていない要因(家庭やボランティア活動の経済的貢献)を足すという計算から出る数値だ。アメリカの1人当たりのGPIは、1970年代後半から1万7000ドル前後で増えていない。さて、日本人はどうだろう?


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